平成30年予備試験口述試験民事再現答案

登場人物は、

主査:40代男性

副査:40代男性

弁護士なりたいお君(私)

主査と副査は逆かもしれません。

 

主査:パネルに書いてある事案を読み上げますので、よく見ていてください。

(おおむね以下の内容)

(XがYに彫刻を売却(本件売買契約)、YはZが代金支払債務を保証するとしてXと保証契約を締結(本件保証契約)Yは締結当時Zから「彫刻の売買の件」と書かれた委任状と、印鑑登録証明書(1年前のコピー)を所持していた。Xは彫刻を引き渡したが、Yは代金支払期日になっても債務をりこうしないため、Xの代理人PがZに訴訟を提起するという事案。)

よろしいですか?

はい。(基本的な問題の組み合わせだけど、緊張で頭が動かない……。)

 

主査:では、Zに対する訴訟の訴訟物を答えてください。

えー、あの……、申し上げます。保証契約に基づく保証債務履行請求権です。

 

主査:はい。結構です。では、請求原因を答えてください。

まず、Xは平成〇年〇月〇日、Yに対して本件彫刻を×万円で売った。

Yは、Yの売買代金債務を保証することをXとの間で保証、あ、保証の合意をした。

Yは保証の合意をZのためにすることを示した。

本件保証契約に先立ち、ZはYに本件保証契約についての代理権を授与した。

本件保証契約は書面によりされた。(二人ともピクリともしない……。間違ってる?)

あっ、平成〇年〇月〇日は到来した。です。

 

主査:うん、まあ、時的要素は置いておくとして、これは誰が何を保証しているの?

えーと、Zが売買代金支払い債務を保証しています。なので、Yは、Yの売買代金債務をZが保証することをXとの間で保証した、です。申し訳ございません。(わからん。)

 

主査:はい、それでは裏面に行きますね。

副査:ここからは私が説明しますね。

(おおむね以下の内容)

Zが代理権を否認したことを受けて、Xは110条の表見代理を主張することとした。なお、Zは、委任状や印鑑登録証明書について、別の彫刻の売買について代理権を与えたことは認めている。

よろしいですか?この場合の規範的要件を教えてください。

えーと、先ほどの要件に加えて、

XはYに代理権があると信じた。

Yは、本件保証契約にあたり、委任状と印鑑登録証明書のコピーを有していた。

Zは、Yに対し、彫刻の売買についての代理権を授与した。

です。

 

副査:今、110条の表見代理の要件事実を言ってくださったけど、そのうちで規範的要件はどれですか?

あっ!失礼いたしました!!無過失です!

 

副査:条文上、無過失と書いてありますか?

あっ!何度もすみません。正当な理由、です。(あかんわこれ)

 

副査:はい、そうですね。正当な理由というのが主要事実になりますか?

いえ、それを基礎づける評価根拠事実が主要事実となります。

 

副査:うん。では、本件において、正当な理由の評価障害事実としてZの代理人Qが主張すべき事実を教えてください。

えーと、印鑑登録証明書は1年前のコピーですので、これは別の彫刻の売買についてのものであると主張できると思います。

 

副査:はい、ほかにありますか?

えっ、他ですか……えーと、えーと……(30秒ほどパネルを裏返してみたりして悩む)。えーと、1年前であることと、コピーってことは先ほど申し上げましたよね……。(お手上げや)

 

副査:先ほど印鑑登録証明書についておっしゃってくださいましたが、委任状のほうはどうですか?

えーと、「彫刻の売買の件」とありますが……。(誘導されてもわからん)

 

副査:はい、それだけだとどの彫刻についての保証かわからない、ということもできそうですね。

あ!はい、そうですね。すみません……。(オワタ)

 

副査:はい、事案を進めますね。

(概ね以下の内容)

(Zは、Yから「Xは代金〇万円のことはもういい」と言われた。)

Qとしてどのような抗弁を主張しますか。

はい、免除の抗弁を主張します。(おっ、やっと主査の人がマルを付けている。さっきまで微動だにしなかったから、安心。)

 

 

副査:はい、そうですね。では、次に、Pは、Xから、Zは高額な彫刻を有している以外に資産はないが、これを他の者に引き渡そうとしていると聞きました。この場合において、Pとしてとっておくべき手段はなんですか?

 

金銭債権なので、彫刻の仮差押えをします。(保全これだけか)

 

副査:はい、そうですね。では次にいきますね

(概ね以下の内容)

契約締結の場におり、Xにとって有利な証言を引き出せそうなBがいるが、来月出国してしまいしばらく帰ってこない。

よろしいですか?Pとしては、何をしておくべきですか?

えーと、証人尋問……を……請求します。

 

副査:そんな時間はありますかね?

ないです!申し訳ございません。なので、Bにすぐに会いに行って書面を作ります。

 

副査:はい。その書面を何というかご存知ですか?

えー、陳述書です。(主査の方がマルをつけているな…)

 

副査:はい、その他には?

えー……、証拠保全を……します。

 

副査:そうですね、証拠保全ってどうやるか知っていますか?

えっ……あの、人を……呼ぶんだと思います……。

 

副査:まあ、裁判所に呼ぶんだよね。

はい!(オワタ)

 

副査:では、次です。

(概ね以下の内容)

(YとZはQに対し、「本件についてはYが悪かったと思っている。ついては、両者の代理人となってうまくまとめてほしい」との依頼を受けた。)

Qは、これを受けるべきか、職務基本規程上、問題となる条文はありますか?

はい、えーと、27条……に利益相反の規定があったと思います。

 

副査:はい、本件では利益が相反しているといえますか?

えーと、今はしていませんが、審理が進むにしたがってYが非を認めない立場に転じることもあり得るので、その場合に利益相反のおそれがあります。

ですので、依頼を受けるべきではないと思います。

 

副査:まあ、そうですね。

(主査に向かって)ありますか?

(主査黙礼)

では、以上となります。

ありがとうございました。(謎の達成感)

 

コメント

 

一日目は民事でした。

簡単な事案の組み合わせだったのですが、極度の緊張で、言ったそばから発言内容を忘れていきました(請求原因など)。

 

1.対策

私は社会人受験生で論文発表後時間がないので、訴訟物、請求の趣旨及び要件事実を確実に言えるようになることに全力を注ぐ戦略をとりました。試験の前半で躓くとその後も追及が厳しくなるからです。また、訴訟の細かい手続などは知らなくて当然、試験委員に教えてもらう場だと割り切りました。

 

2.予備校の模試

絶対に試験前に予備校各社の模試を受けてください。また、知り合いに経験者がいれば可能な限り練習をさせてもらうとよいでしょう。

辰巳は、論文発表の16時ころから電話回線がパンクします。私が辰巳につながったのは結局18時以降で、すでに口述模試は定員になっていました。

辰巳で受けたい人は校舎に直接行くといいらしいです。

ただ、口述模試はどこかしらでは受けられます。私は伊藤塾と資格スクエアで受けることができました。資格スクエアはフィードバックがかなり丁寧なのでおすすめです。

 

3.試験委員

最後に、試験委員ガチャに当たるように日頃から善行を重ねてください。

部屋によって試験の進みが違うのですが、たぶん進みが速いほうが追及が少ないので当たりだと思います(私は両日速かったです)。

また、1日目の試験委員は何を応えても反応がほぼなかったのですが、2日目の副査は大きく頷いたり、首を傾げたりして誘導してくれました。このあたりも、試験委員の方によって違います。