平成30年予備試験実務基礎民事再現答案

第1、設問1

1.(1)について

(1)法的手段

Xは、民事保全法23条1項、24条により、Aに対する売買代金債権の処分禁止の仮処分の申立てを行う。

(2)上記により、YはAに対して有する債権を処分できなくなる。Yはこの他にめぼしい資産はなく、上記手段をとらないと、勝訴判決に基づく債務名義を得ても、執行の実効性が担保できない。

2.(2)について

平成27年9月15日付消費貸借契約に基づく100万円の貸金返還請求権、及び履行遅滞に基づく損害賠償請求権の2個

3.(3)について

被告は、原告に対し、100万円及び平成28年10月1日から支払済みまで年5部分の割合による金員を支払え

4.(4)について

(1)法律要件

消費貸借契約(民法587条)の法律要件は、(あ)返還合意(い)金銭給付、返還請求要件として、(う)弁済期合意、(え)弁済期到来である。また、損害賠償請求権の法律要件は、(お)債務不履行、(か)損害である。そして、遅延損害金の起算日は弁済期の翌日である(140条、412条1項)。

(2)具体的事実

ア Xは、Yに対し平成27年9月15日、弁済期平成28年9月30日の約定で100万円を貸し付けた。

イ 平成28年9月30日は経過した。

ウ 説明

アにより、(あ)ないし(う)という、Xの貸金返還請求権の発生を基礎づける主要事実が主張されたこととなる。

イにより、(お)の事実が基礎づけられることとなる。なお、(え)はこれに含まれている。また、損害はすでに主張済みである。

第2、設問2

1.(1)について

平成28年9月30日、消費貸借契約に基づく貸金債務の弁済として、100万円を給付した。

2.(2)(i)について

上記売買代金債権と、貸金債務を相殺する。

3.(2)(ii)について

(1)結論

不要である。

(2)理由

売買契約(555条)は諾成契約の為、引渡しの事実主張は不要である。

第3、設問3

催告がなされたからである。

第4、設問4

1.本件では、平成28年9月30日に弁済の事実があったかが主たる争点であるといえる。以下の通り弁済がなされたといえる。

2.Yが連日50万円を出金した事実

(1)Xが真正を認めた本件通帳においては、平成28年9月28日及び29日にYが50万円ずつ計100万円を出金した事実が認められる。これは貸金債務額と同額であり、かつ、弁済日の前日、前々日である。

(2)通常、このような多額を連日出金することは考えられず、Xへの弁済がなされた事実が合理的に推認できる。

3.YがXに同日食事をごちそうした事実

両者の一致する供述として、平成28年9月30日にYがXに食事をおごった事実が認定できる。この事実は、Yが当時お金に困っていなかったことを推認させ、弁済資力が十分にあったことを推認させる。

4.領収書の存否

(1)領収書の存否については争いがあるが、Yは確かに平成28年9月30日にXから領収書を受け取っている。

(2)もっとも、領収書は手帳を切り取っただけのものであり、また、Yには弁済が終わったという期待が生じるのが当然である。そして、真正が認められた本件住民票から、平成29年8月31日ころYが引っ越しをした事実が認められる。上記のような簡単な形式の領収書であれば、紛失することも不合理とまではいえない。

5.弁済後のXの挙動について

Xが弁済を請求し始めたのは平成29年10月に入ってからであるところ、弁済期から1年も経過している。通常100万円もの大金であれば友人であっても弁済期後すぐに請求するはずである。また、平成29年9月半ばころ、Xは同窓会費を使い込んだ事実をYに指摘され幹事を辞任している。このことから、10月になって恨みをもって請求に及んだものと考えるのが合理的である。

6.以上、Yの弁済の事実が認められる。

以上

コメント

評価はEです。不出来シリーズです。

「実務基礎を制するものは予備試験を制する」(得点が倍なので)というセオリーがあるようなのですが、勉強不足でダメでした。対策は過去問のみです。

仮処分を間違えていたり、設問2の時効の基礎知識すら思いつかなかったりカオスです。第1の4は明らかに余事記載ですし、加えて間違っているので最悪です。

 反面教師にしてください。