平成30年予備試験民法再現答案

第1、設問1

1.債務不履行に基づく請求

(1)請求の根拠

ア Aは、雇用契約民法(以下略)623条)の付随義務としての安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求(415条)をする。

イ まず、AとCには直接の契約関係はない。しかし、CはBに雇用されており、AはBと本件家屋の解体作業につき請負契約を締結し、その業務を請け負わせていた。そして、Cは、A及びBに対し作業指示を与えており、実質的にはCとAの間にも雇用関係があったといえる。

ウ Cは、その従業員に対し雇用契約に基づく安全配慮義務を有しているといえる。そして、同様に、Aに対しても雇用契約の付随義務として、信義則上安全配慮義務を負うといえる。それにもかかわらず、Cは命綱や安全ネットを使用しておらず、安全配慮義務違反が認められる。

エ 相当因果関係及び損害は明らかである。

(2)有利・不利な点

ア 有利な点として、Cの故意又は過失について立証責任が転換されている。

イ 不利な点として、遅延損害金の起算日は請求日の翌日である平成29年7月1日からとなる(412条3項)。また、なにより、CとAとの間の直接の契約関係の認定が困難であるという点がある。

2.不法行為に基づく請求

(1)請求の根拠

Aの請求の根拠は、709条に基づく損害賠償請求権及び715条に基づく損害賠償請求権が考えられる。

ア 709条に基づく請求

(ア)Aは、転落事故により、身体という権利利益に侵害を受け、損害を受けた。

(イ)Cは、個人で建築業を請け負っていることから、7メートルもの高さでの解体工事においては、落下による身体の傷害が生じるおそれがあることについて予見できたといえ、命綱や安全ネットによって自己を防止する結果回避義務があるといえる。それにもかかわらず、Cは当該措置を怠っており、過失が認められる。

(ウ)損害及び相当因果関係は明らかである。

イ 715条に基づく請求

Cは、解体「事業」のために、Bを「使用」している。そして、Bは、解体「事業の執行について」、Cを転落させ、損害を負わせている。

ウ 709条、715条共通の要件について

AがC不法行為による請求をしたのは、平成29年6月30日である一方、損害を負ったのは平成26年2月1日であり、「損害及び加害者を知ったとき」(724条)の意義が問題となるところ、被害者保護と、加害者の期待の調和の観点から、損害賠償ができる程度に損害と加害者を知ったときをいうと解する。

もっとも本件では、Aは事故後記憶を喪失しており、損害及び加害者を知ったのは、Dから聞いた平成26年10月1日である。

本件では、Aは人損を負っており、消滅時効期間は「損害及び加害者を知ったとき」(724条)から5年となる。

したがって、いまだ時効期間は経過しておらず、損害賠償が可能である。

(2)有利・不利な点

ア 有利な点として、遅延損害金は不法行為時からとなる。

イ 不利な点として、時効期間が415条による場合より短い。また、709条に基づく請求の場合は、故意又は過失を立証する必要がある。

第2、設問2

1.(ア)について

(1)離婚(736条以下)には、効力要件として離婚意思、手続要件として届出(764条、739条)が必要である。

(2)そして、離婚意思とは、単に離婚をする届出意思で足りる。

本件では、Fは、Cの申出に基づいて離婚を了承しており、両者に離婚意思が認められる。

また、届出もなされている。

(3)したがって、CからFへの財産分与は無効とは言えない。

2.(イ)について

(1)Aは、Fに対して詐害行為取消権(424条)を主張して財産分与を取り消し、かつ土地建物の返還請求をする(424条の6第1項)ことが考えられるところ、財産分与が「財産権を目的としない」行為(424条2項)といえないかが主たる問題点となる。他の要件も併せ検討する。

(2) Aは損害賠償請求権という被保全債権を有する。

(3) Cは無資力である。

(4) 詐害行為といえるかは、詐害意思との相関関係で決まる。そして、財産分与は、その「一切の事情」(768条3項)を考慮して決められるのであり、原則として「財産権を目的としない」行為にあたる。もっとも、財産分与に仮託して、執行を免れようとする処分を行う場合は、424条2項には当たらず、詐害行為として認められる。

本件では、Cは、このままでは差押えを受ける為、離婚しよう。本件建物は本来平等で分けるべきだが、確定的にFのものとして、引き続き生活したいと述べており、これは執行を免れるために、財産分与に仮託して行われた処分行為であるといえる。

したがって、詐害行為といえる。

(5)Cの悪意及びFが詐害行為時にAを害することについて知っていたことは明らかである。

(6)以上、Aは本件土地及び本件建物のいずれについても、Fを被告とした上でCに訴訟告知を行い(424条の7第1項第1号)、詐害行為取消権を行使することとなる。

(7)取消しの範囲として、Aは本件土地建物の価額を超える損害賠償請求権を有しており、かつ土地建物は不可分であるからその全部取消が可能である(424条の8第1項)。

以上

コメント

 

評価はAでした。また、改正法ベースに条文を直し、不要部分に取消線を引きました。筋は一緒です。

 

設問2は典型問題だったのでそれなりに書けたのがよかったのかもしれません。

設問1は、雇用契約の付随義務なのか請負契約の付随義務なのか迷いましたが、今になって思うとどっちでもよかったのかなと思います。

平成30年予備試験行政法再現答案

第1、設問1

1.「処分」(行訴法3条2項)の意義

「処分」とは、公権力の主体たる国または公権力の行う行為のうち、その行為により直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を画定することが法律上認められているものをいう。もっとも、実効的な権利救済や紛争の成熟性などの観点も加味して判断する。

2.Y市の反論

反論としては、本件勧告及び公表のいずれも、事実的行為にすぎず、法的効果を有しないとの主張が考えられる。

3.本件勧告について

(1)条例48条は「指導」「勧告」と定めており、文言上は処分とは解されないが、49条に意見陳述の機会付与を定めており、処分であるとの立法者意思があると解される(行手法13条)。

他方、条例では、48条の勧告、50条の公表後に罰則等を課す規定がなく、やはり処分ではない事実的行為にすぎないとも思える。

(2)しかし、Xは、Aから何らかの行政上の措置を受ければ融資を停止せざるを得ないといわれている。すでにXは公表を受ける地位に立たされているのであり、公表がなされた場合、確実に融資は停止することとなる。その場合、Xはほぼ確実に事業活動の継続ができなくなるのであり、実効的な権利救済の観点から、本件勧告が処分であるといえる。

3.本件公表について

(1)本件公表については、加えてY市から、紛争の成熟性がないとの反論がなされると考えられる。

(2)もっとも、上記の通り、公表がされれば融資停止により。Xは経営に深刻な影響が及ぶのであり、既に不安は現在しているといいえる。したがって、紛争も成熟しており、処分性が認められる。

第2、設問2

1.理由付記の違法について

(1)条例25条4号に違反するとの理由は、理由付記(行手法14条)違反である。すなわち、理由付記の趣旨は、行政の恣意抑制及び不服申し立ての便宜にあるため、その内容それ自体から、どのような行為がどの条文の要件にあたるのか明らかでなければならない。

(2)これに対しては、Y市から、すでに意見陳述において説明をしているとの反論が考えられる。

しかし、それでもなお、上記趣旨は害されるため、理由付記違反が認められる。

(3)そして、理由付記違反は重大な違法であり、直ちに取消事由となる。

2.裁量の逸脱・濫用について

(1)Xは、知事の条例48条による勧告処分が裁量の逸脱濫用に当たると主張する(行訴法30条)。

(2)これに対し、Y市は、知事に広範な裁量があり、その範囲内であると反論する。

(3)裁量の有無は、規定の文言及び処分の性質により判断する。

本件では、「消費者の利益が害されるおそれがあるとき」や「できる」など、それぞれ知事に要件・効果裁量を認める趣旨であるといえる。

また、罰則規定などもない条例において、知事が事案の性質に応じた柔軟な判断を行っていく趣旨の処分と解され、政策的専門的判断が必要であるといえる。

以上より、知事には要件・効果裁量が認められる。

(4)そこで、裁量権の行使について、その判断過程に不合理な点があり、著しく不合理な処分がなされるなど、逸脱濫用の場合に違法となる。

本件では、Xの一部の従業員が(ア)「水道水に含まれる化学物質は有害ですよ」(イ)「人助けと思って買ってください」などと勧誘を行っているが、(ア)は単なる個人の意見にすぎず、25条4号には当たらないため、この事実を考慮すべきでなかった。

また、そのような勧誘をしたのは一部の者にすぎず、かつ、すでにXは指導教育を行っているのであるから、「消費者の利益が害されるおそれ」はなかったといえる。したがって、指導監督をしたことは考慮すべきであった。

(5)したがって、上記のように、考慮すべき事項を考慮せず、考慮すべきでない事項を考慮したことにより、著しく不合理な判断がなされており、裁量権の逸脱・濫用といえる。

 

以上

コメント

 

評価はBでした。

設問1の処分性については、すぐに病院勧告事件が想起され、法的効果がなくても実効的な権利救済の見地から処分性を認めるべきという筋に決めました。

もっとも、答案作成上でミスをしてしまいました。

私は処分性の規範では、原則として「「処分」とは、公権力の主体たる国または公権力の行う行為のうち、その行為により直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を画定することが法律上認められているものをいう。」とだけ記載し、立法者意思などが問題になる給付行政や、中間行為、事実上の効果しかない場合などに限って規範を修正することとしていました。本件では規範を修正すべきところ、うっかり「もっとも、実効的な権利救済や紛争の成熟性などの観点も加味して判断する。」という修正部分の記載を失念して答案作成をしてしまったのです。

最後に余った時間で上記を加筆修正しましたが、かなり小さい字となったため、試験委員が読めたかわかりません。この失敗を踏まえ、司法試験ではほぼ加筆修正がないように心がけました。

また、条例には適用のない理由付記の論点を書いてしまったのが大きなミスであると思います。このあたりで無理解を示してしまったのがBの要因ではないでしょうか。

 裁量の部分については、要件・効果裁量の有無を確認した上で判断過程審査にもっていっているので、水準ではないかなと思います。

令和元年司法試験でも判断過程審査が出ましたが、そろそろ数年前によく出た行政規則との関係も再度出題されるのではないでしょうか…。

平成30年予備試験憲法再現答案

第1、Xの主張

1.法律上の争訟性

(1)法律上の争訟とは、当事者間の具体的な権利義務に関する紛争について、法の適用により終局的に解決できるものをいう。

(2)本件では、Xの議員の身分という具体的な権利義務に関する紛争であって、以下のとおり憲法違憲として解決できるため、これをみたす。

2.処分1について

(1)Xは、処分1が憲法(以下略19条)の自己の意思に反する発言を強制されない事由を侵害し違憲と主張する。

(2)思想・良心は重大な精神の中核的作用であり、強度に保障される。そして、思想とは、信条のみならず広く内心の考えを含む。そして、内心に反する行動を強制されないことで初めて思想良心の自由が担保できるため、内心に反する行動を強制されないことも19条の保護下にある。

(3)処分1は、陳謝いたします。との発言を強制されるという、上記自由の直接的制約を受けており、厳格な審査に服するべきである。すなわち、目的が真にやむにやまれず、手段が必要最小限でなければ違憲である。

(4)まず、処分1の目的は、議会の中立的運営といえるが、Xは独自の調査に基づいて発言を行っており、むしろ公正な議会運営を目的としたものであるから、この目的がやむにやまれぬとはいえない。

また、手段も、「事実に反する発言を行いました」と述べるだけで足り、必要性に欠ける。

(5)以上、処分1は19条に反し違憲である。

3.処分2について

(1)処分2は、Xの議員の活動の自由(21条1項)に反し違憲である。

(2)Xの本件発言は、まさに民主主義政治に参画していく自己統治の価値を有するのであるから、表現の自由の中核的部分にあり強く保障される。

そして、除名というそれ自体極めて強度な処分により、他の者が今後発言をすることに委縮効果が生じることも考えれば、2.同様、厳格な基準によって審査すべきである。

(3)処分2の目的は議会の公正といえるが、やはり、Dの疑いを指摘するものであり、むしろ公正に資するとして重要性はない。

また、手段としても、まずは一定期間の出席停止など、より軽い処分によるべきであり、必要性が認められない。

(4)以上、処分2は21条1項に反し違憲である。

第2、反論

1.議員の処分については、内部的な問題であるから、手続上の瑕疵はともかく、その自律的な決定が尊重され、法の適用により解決すべきものとはいえない。

2.19条の思想とは、世界観等の信条に限られるのであり、単なる陳謝の意などは含まれないため、19条の侵害はない。

3.議員には、処分を行う裁量がある。

第3、私見

1.法律上の争訟性について

(1)判例は、大学における単位認定については、その判断権が大学にあるとして法律上の争訟性を否定したが、卒業認定に関しては、実社会生活に関係を有する重大な事項であり、法律上の争訟にあたるとしている。したがって、実社会生活に関係を有する重大な事項であるかにより判断する。

(2)本件では、Xは発言により、議員の職を失うこととなる。これはそれ自体重大な権利義務に関する処分であり、実社会生活に関連を有する重大な事項といえる。

(3)以上、法律上の争訟といえる。

2.処分1について

(1)判例は、思想の外延についてどこまで含まれるか明らかにはしていないが、少なくとも単なる陳謝・反省を示させることは、思想良心の自由には反しないとしている。

(2)本件では、Xは単に「陳謝致します」と朗読する処分を受けているが、これにより一般的客観的にXの思想を強制するものではなく、19条を侵害しているとはいえない。

(3)以上、処分1は合憲である。

3.処分2について

(1)Xの議員活動の自由は、市政に積極的に関わっていくことで、自ら統治に参画するという重要な権利である。また、除名により他議員に対する委縮効果も懸念される。

したがって、議会の立法裁量は限定され、目的が重要で、手段の必要性合理性ない限り違憲である。

(2)処分2の目的は、議会の中立・公正な運営を図る点にある。これはたしかに重要な目的であるといえる。

しかし、Xは、Dは調査による相当の根拠に基づいて発言をしており、議会の公正を乱そうとするものではないので、除名処分に目的との関連性すらない。また、疑惑について言及することでむしろ議会の中立公正は保たれる。さらに、いきなり除名処分とするのは明らかに過剰な処分であり、必要性に欠ける。

(3)以上、処分2は21条1項に反し違憲である。

以上

 

コメント

平成30年司法試験憲法は、従来の問題方式から転換されましたが、予備試験は従来の言い分方式が維持されました。

私は、憲法は基準は3つだけ(厳格・中間・緩やか)であてはめ勝負という答案の書き方をしていたのですが、以下の理由から判例を持ち出すスタイルに変更し、試行錯誤をしているさなかに予備試験を受けています。

  1. 平成30年司法試験憲法判例に言及する指示があったこと
  2. あてはめ勝負だと当日の運に左右されること

この程度でも十分Aが来るということです。

 

平成30年予備試験再現答案シリーズ

令和元年予備試験論文式試験を受験された方は10月の合格発表を心待ちにされていると思いますが、ご参考までに、私が受験・合格した平成30年予備試験論文式試験・口述式試験の再現答案を残しておくことにしました。

 

その趣旨ですが、私自身、

  1.  社会人受験生という性質上、周囲に論文・口述受験者、受験ノウハウが少なく、とても困ったこと
  2. どの程度の答案で何位くらいになるのかのデータが少なく、合格発表日までソワソワしてしまったこと

から、論文・口述試験の相場感を遅まきながらお示ししたいと思ったからです。

 

なお、私の論文式試験順位は124位です。

内訳は、憲法A行政法B民法A商法B民訴法B刑法A刑事訴訟法A一般教養E実務Eです。

口述式試験順位は189位で120点です。

 

 

bengoshinaritaio.hatenablog.com

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令和元年司法試験刑事訴訟法再現答案

設問1小問1

1.別件逮捕勾留

(1)本件では、比較的軽微な業務上横領事件(以下、別件)で甲を身体拘束し、強盗致死事件(以下、本件)の取調べを行っており、これはいわゆる別件逮捕勾留にあたる。もっとも、令状裁判官は捜査機関の意図を見抜くことは難しいため、別件の逮捕勾留が適法であれば、本件身体拘束は適法であり、本件の取調べについては余罪取調べの限界として検討する。

(2)甲は、Aから集金した3万円を着服したことについてX社社長の供述があるほか、Aの甲に3万円を交付した旨の供述や、同額がX社に入金された事実がないことの報告書を得ており、「相当な理由」(刑事訴訟法(以下略)199条1項)が認められる。また、業務上横領罪は重大犯罪であること、甲は一人暮らしかつ無職であることから逃亡のおそれが高く、逮捕の必要性も認められる(199条2項ただし書き、規則143条の3)。

したがって、別件の逮捕は適法である。

(3)また、勾留請求の時間制限は満たしていること(203条、205条)、上記同様に「相当の理由」(207条1項、60条1項ただし書き)が認められること、逃亡のおそれがあること(同3号)、逃亡の恐れがあり勾留の必要性も満たしていること(87条1項)から、勾留も適法である。

(4)別件についての捜査は、Yの取調べやI店のカメラの精査などによるさらなる裏付けが必要であり、「やむを得ない事由」(208条2項)があるため、勾留延長も適法である。

(5)以上、別件についての身体拘束は適法である。

2.余罪取調べの限界

(1)被疑者には取調べ受忍義務(198条1項ただし書き反対解釈)が及ぶが、事件単位の原則から受忍義務が及ぶのは別件のみである。もっとも、任意取調べとして行われる限度としては許される。そこで、捜査目的達成のために当該捜査手段を行う必要性と、被疑者に生じる肉体的精神的負担の侵害の程度を吟味し、具体的状況の下で相当と認められる限度において認められると解する(197条1項本文)。

(2)本件では、強盗致死事件は重大な事件であり、Vは警察官に対し犯人は黒色の原動機付自転車に乗っていたと述べているところ、供述と同じナンバーの原付は甲のほか2台しかないこと、犯行日の2月1日には口座残高が1万円であったにもかかわらず翌日に残高が30万円となっていることなどから、Vの50万円を奪った嫌疑が強く、捜査の必要性は高い。

他方、甲は長期の身体拘束を受けているが、別件事件のYの取調べやI店のカメラ確認などにも時間を要しており、強盗致死事件のためだけの身体拘束期間ではない。また、一日の取調べ時間も両事件あわせて5時間を超えておらず、甲に配慮されているから、肉体的精神的負担もそれほど大きいとはいえない。

(3)したがって、捜査の高度の必要性に比して甲の肉体的精神的負担は重大ではないため、本件状況の下では余罪取調べも相当であるといえ、適法である。

設問1小問2

1.本件基準説

(1)別件逮捕勾留が、専ら本件の取調べ目的である場合には令状主義の潜脱となるため、違法となる。

(2)本件では、本件取調べ時間は別件取り調べ時間の倍の40時間となっている。また、取調べ回数も別件7回に対して本件は12回と多く、別件の身体拘束は実質的に本件取調べ目的であったといえる。

(3)したがって、身体拘束は違法である。

2.採用しない理由

(1)上述したとおり、令状裁判官が捜査機関の意図を見抜くことは困難であり、結果的に令状発付が違法となることは安定性を欠く。

(2)また、取調べ時間や回数から捜査機関の目的を推認することには困難が伴う。すなわち、本件では、Yの取調べやカメラの確認のために8日から12日、16日から18日までは別件の取調べができなかった。また、強盗致死事件は横領事件よりもより重大なのであって、取調べの回数や時間が多くなることもやむを得ない。

(3)したがって、本件基準説は採用できない。

設問2

1.訴因変更の可否

(1)公訴事実1から2への訴因変更が「公訴事実の同一性」の範囲内といえるか(312条1項)。

(2)同条の公訴事実とは、訴因変更の限界を画する機能概念であり、その趣旨は、被告人の防御と一回的解決の必要性との調和にある。そこで、「公訴事実の同一性」とは、犯罪を構成する基本的事実が同一であることをいい、事実的共通性を基準に、非両立性も考慮して判断すべきと解する。

(3)本件では、業務上横領事件から詐欺事件に訴因変更が請求されている。両事実は、同日、A方という同じ場所で3万円をAから受領したものであり、基本的事実は共通している。また、詐欺罪と業務上横領罪は、集金権限があるかないかによって成否が表裏となっており、同日同場所で両立することは社会通念上考えられないため、非両立性も認められる。

(4)したがって、「公訴事実の同一性」が認められ、訴因変更は可能である。

2.公判前整理手続の趣旨を踏まえた制限の可否

(1)もっとも、本件訴因変更は公判前整理手続後に行われている。同手続の趣旨は、充実した公判審理を継続的、計画的かつ迅速に行うために争点及び証拠を整理することにある(316条の3第1項)。

そこで、争点や証拠の異同、訴因変更の期待可能性などを考慮し、公判前整理手続の趣旨を害するような訴因変更は許されないと解する。

(2)本件では、争点は量刑のみであって、公訴事実それ自体について争いはなく、上述の通り業務上横領罪と詐欺罪は権限があるかないかの表裏の関係であるところ、甲もX社社長も権限がないことを認めているため公訴事実が改めて問題となることはない。したがって争点が異なることはない。

また、証拠についても権限の有無については、X社社長の証言がすでに証拠調べされていること、また、Aの欺罔行為に関する証言も得られていることから、新たな証拠調べは必要でなく、この点からも証拠が異なることはない。

さらに、甲に集金権限がなかったことについては、X社社長が公判期日においてはじめて思い出したのであって、甲側も、これまで何らの主張をしてこなかったのであるから、訴因変更を行う期待可能性もなかったといえる。

(3)以上から、本件訴因変更は、公判前整理手続の趣旨を害するようなものとはいえず、制限を受けないため、変更可能である。

以上

 

コメント

司法試験受験翌週中に作成したため、再現度は80%以上です。6枚ほど。

おそらく今年の受験科目の中で最もひどい出来です。形式的に問いに答えていません

また、問題を見た瞬間途中答案リスクを感じたので設問1をサクッと終わらせていますが、設問2では差がつかなそうですのでここで大きく評価を下げていると思います。Fを覚悟。

設問1について

刑訴でも学説対立問題……。私は別件基準説の処理だけ整理していたため、身体拘束についてはさっさと終わらせて余罪取調べの限界に流しています。

しかし、問題文は「身体拘束の適法性」となっているので、身柄拘束の違法性と取調べの違法性を別個に考えるんだとしたら、余罪取調べの限界については全く点がつかないのではないでしょうか……。

となると、別件基準説を自説にした場合は、どこに答案の厚みを持たせることになるのかわかりません。勾留延長のところ?それとも他説のところでがっつり書かないと無理ゲーってこと?誰か教えてほしい……。

本件基準説についてはよくわからんのであっさり終わってしまいました。

実体喪失説……?名前しか知らない……。上位ローでは当然のように全部の学説やるんですか……?しゅごい……。私の学校では実務別件だから別件だけやっとけばいいって言われたよ……。

設問2について

 こちらはあまり差がつかなそう……願わくばもう少し難しい問題だとまだ助かったかも(自分ができるとは言ってない)

 

令和元年司法試験刑法再現答案

 

 設問1

1.ダミー封筒とのすり替え行為について、詐欺罪(刑法(以下略)246条1項)または窃盗罪(235条)の成否

(1)上記行為について詐欺罪と窃盗罪のいずれが成立するかは、Aに交付意思があったかによる。すなわち、詐欺罪は瑕疵ある意思に基づいて占有移転を行う交付財である一方、窃盗罪は、意思に反して占有移転する奪取財であるからである。

(2)まず、本件キャッシュカード等は、それ自体所有権の対象となり、かつ預金を迅速かつ確実に得ることができる財産的価値を有しており、「財物」(246条1項)ないし「他人の財物」(235条)にあたる。

(3)「欺いて」(246条1項)とは、交付の判断の基礎となる重要な事項、すなわち財産的損害に関する事項を偽ることをいうところ、これは交付行為に向けたものであることを要する。そこで、交付者に、財物を自己の占有外に移転する意思があったかにより判断する。

本件では、甲は、ダミー封筒を準備したうえ、本件キャッシュカード等を封筒にVに入れさせた上ですり替えているところ、すり替えはAが印鑑を取りに行っている間に行っており、Aはキャッシュカード等を自己の占有下で保管する意思を有しているから、財物を占有外に移転する意思はない。

したがって、交付行為に向けられた欺罔行為があったとはいえず、詐欺罪は成立しない。

(4)他方、甲は本件キャッシュカード等をVの不在時にダミー封筒とすり替えており、このような軽量物は自己のバッグ内に入れた時点でAの黙示的意思に反してその占有を移転させているといえ、「窃取」したといえる。

(5)故意及び不法領得の意思に欠けることもなく、甲には窃盗罪が成立する。

設問2

1.事後強盗罪の共同正犯(60条、238条)が成立するとの立場

(1)乙は甲と事後強盗の共謀をしており、共謀に基づいて下記の脅迫を行っている。なお、乙は甲が万引きをしたものと勘違いしているが、実際の甲の行為とは構成要件内で符合しており、因果性に欠けるとも錯誤があるともいえない。

(2)238条の趣旨は、窃盗の機会に強盗を行うことが強盗と同視できる点にある。そこで、同条の「脅迫」とは、客観的に犯行抑圧に至る程度の害悪の告知が、窃盗の機会、すなわち、その現場か継続的延長でなされることを要する。

本件では、甲及び乙は2対1の状態で、乙が刃体10センチメートルという殺傷力あるナイフをCに示して「殺すぞ」と申し述べており、これは強度の態様による侵害である。また、Cは片手がふさがっている状態であり、2人に対して抵抗することは難しい。

したがって、窃盗現場で客観的に犯行抑圧に至る程度の害悪の告知がされたといえる。

(3)乙には、「逮捕を免れる」目的が認められる。

(4)身分とは、犯人の一定の犯罪に関する人的関係たる特殊の地位又は状態をいう。また、真正身分と不真正身分の区別は明確であることから、65条1項は真正身分犯の成立と科刑を、65条2項は不真正身分犯の成立と科刑を定めていると解する。なお、条文が共同正犯を排除していないこと、共同正犯であっても法益侵害可能であることから、65条の「共犯」には共同正犯も含まれる。

本件では、「窃盗」であることは、事後強盗罪において法益侵害を基礎づける真正身分であり、窃盗行為を行っていない乙についても、65条1項により、事後強盗罪が成立する。

(5)したがって、乙には事後強盗罪の共同正犯が成立する。

2.脅迫罪の共同正犯が成立するとの立場

(1)事後強盗罪は財産犯であり、窃盗行為と脅迫行為の結合した犯罪である。

本件では乙は実行行為の途中から犯行に関与したといえ、承継的共同正犯の成否が問題となる。

(2)共同正犯の処罰根拠は、相互的意思連絡の下で結果に対して因果性を与える点にある。そこで、すでに終了した行為については因果性を与えることができず原則として承継的共同正犯は否定されるが、例外的に先行行為の結果を積極的に利用し結果に対して因果性を与えうる場合には、肯定すべきである。

本件では、すでに甲は窃盗未遂罪の結果を生じさせており、乙はもはやこれに対し因果性を与えることはできないから、承継的共同正犯は成立しない。

したがって、事後強盗罪の共同正犯は成立しない。

(3)他方、上述の通り乙はCに対し害悪の告知を行っており、脅迫罪の限度で共同正犯が成立する。

3.私見

(1)事後強盗罪は結合犯であると解する。なぜなら、事後強盗罪は第一次的には保護法益を財産としていることから、窃盗は身分でなく行為であるといえるからである。また、窃盗の既遂未遂によって事後強盗罪の既遂未遂が決まることからも、窃盗が実行行為の一部であることがうかがえる。

(2)したがって、乙には脅迫罪の共同正犯が成立することとなる。

設問3

1.正当防衛による説明

(1)丙はDの生理的機能を損なう「傷害」結果を生じさせたことについて(204条)、正当防衛(36条1項)が成立しないか。

(2)「急迫不正」とは、違法な法益侵害が現在しているか間近に押し迫っていることをいう。

本件では、甲がDに向かってナイフを突きつける強盗行為をしており、違法な法益侵害が現在しているといえる。

(3)「防衛するため」とは、急迫不正の侵害を認識しつつこれを避けようとする単純な心理状態の下で防衛行為を行うことをいう。

本件では、丙はDを助けようとしているのであり、これをみたす。

(4)「やむを得ず」とは、手段として必要最小限であることをいう。

本件では、ボトルワインを投げる行為は取りうる唯一の手段であり、これをみたす。

(5)説明の難点

もっとも、障害結果はDに生じている。正当防衛は不正対正の関係にある者同士において認められる違法性阻却事由であり、正当防衛の成立は困難である。したがって、正当防衛は成立しない。

2.緊急避難による説明

(1)上述と同様に「現在の危難」は認められる。また「避けるため」も同様に認められる。

(2)説明の難点

ア 「やむを得ず」とは、手段として必要最小限であることに加え、法益が均衡していることも含む。

本件では、甲が行おうとしているのは強盗行為であり、保護法益は第一次的には財産権である。他方、丙の行為はDの身体を侵害するものであるから、法益が均衡していないとも思える。

イ もっとも、甲はDに対し「本当に刺すぞ」と怒鳴り、レジカウンターに身を乗り出して殺傷力あるナイフを胸元に突き出している。そうだとすれば、Dには生命身体の危険が生じているのであり、侵害法益は生命身体でもあるといえる。

したがって、法益の均衡が認められ緊急避難が成立する。

ウ また、仮に甲にDを刺す意図がなかったとしても、丙としてはDに生命身体の危険が生じることを認識しており、誤想避難が成立する。その場合には、丙には違法性阻却事由の錯誤があり、反対動機形成の機会がないため、責任故意が阻却され傷害罪は成立しない。

(3)以上、いずれにしても丙に傷害結果に対する責任が生じないと説明できる。

以上

コメント

司法試験受験翌週中に作成したため、再現度は80%以上です。6枚ほど。

学説対立問題はやめて……そういう勉強してきてないので来年以降も苦しい戦いになりそうです

設問1について

ATMの引き出しについては銀行の事実上の占有侵害のため何も書かなかったのですが、実はここで10分ほど悩んでしまいました。

というのも、昨年の予備口述刑事(私の受けた日ではない方)で窃盗の保護法益は所有権だ(占有の裏側にある所有権も保護しているんだ)という問題が出たと5chで見た記憶があったからです。

そこで現場でも「うーん、たしかにローでも窃盗の保護法益は所有権と事実上の占有って習ったな…事実上の占有は銀行支店長にあるな…でも法律上の占有はVにあるよね……そもそもお金って占有と所有が一致するんだっけ…預金だとどうなるんだっけ…わからなくなってきた……。」ということでスルーしました。

積極ミスをすること必死だったので、書かないという選択でよかったです(そういう意味で民法の失敗に学べました)。

設問2について

 H30の形式踏襲されてますけど、知識面はともかく、形式面でも何をどの程度書けばいいのかのノウハウがまだ受験生に蓄積されていないような気がします。

私は知識面がやばいので、私見がスカスカです。理由付けも勘だし……。

設問3について

わからん。正当防衛の記述とかおそらく時間の無駄ですね。

誤想防衛かあ…判例知りませんでした

 

令和元年司法試験民事訴訟法再現答案

 

設問1

1.課題(1)

(1)Yの解釈の根拠

Yの解釈は、本件契約に、B地方裁判所を専属的合意管轄とする定めがあるというものである(民事訴訟法(以下略)11条1項)。すなわち、本件定めは、本件契約という「一定の法律関係」に基づく訴えであり、かつ、契約書に記載があるため「書面」でなされている(11条2項)。

(2)立論

ア もっとも、本件定めは、A地方裁判所を管轄とするのに加えてB地方裁判所にも付加的に管轄を認める付加的合意管轄にすぎない。

イ すなわち、本件契約において、原状回復請求がなされた場合には、義務履行地たるA市が通常は管轄を有し、XとしてもA市裁判所に出訴すると考えられるため(5条1号、民法484条)、Xが、B市に専属的合意管轄を認める趣旨で「合意」をしたとはいえない。

ウ したがって、本件定めは付加的合意管轄の定めにすぎない。

2.課題(2)

(1)仮にYの解釈によるとしても、17条による移送を認めるべきである。

(2)本件では、当事者たるXはA市、Yは本店がB市に所在しているところ、Yは全国に支店を有し、A市にも販売店を有している。また、証拠となりうる本件車両はX方に保管されているとともに、A支店従業員は子供が想定外の使用をしたことを理由に債務不履行を認めていないため、同人を証人とする必要がある。これらの所在地もすべてA市にある。A市とB市は600km離れており、新幹線・在来線等を乗りついで約4時間かかる距離にあり、Xやその代理人Lにとっては毎回の期日出席に多額の費用を生じることとなる。他方でYはA支店があるため、A市裁判所での対応の負担は大きくない。また、証拠の所在地も上記の通りA市であるから、B市裁判所での証拠調べは訴訟を著しく遅滞させることとなる。さらに、Yは全国展開する法人であるため、個人であるXとの公平の観点からは、A市裁判所によることが適切である。

(3)したがって、17条によりA市裁判所への移送が認められるべきである。

設問2

1.自白(179条)の意義

(1)Yは事実④を撤回できるか、それぞれの訴訟物との関係で「自白」にあたるか問題となる。

(2)「自白」とは、口頭弁論期日又は弁論準備期日における相手方の主張と一致する自己に不利益な事実の陳述をいう。そして、不利益とは、基準の明確性から相手方に主張責任があることをいい、事実とは主要事実をいう。なぜなら、当事者の最終的な立証命題かつ主たる攻撃防御対象である法律効果の発生等に直接必要な主要事実について「自白」を認めれば、弁論主義の趣旨たる不意打ちの防止を図ることができるからである。

2.当初訴訟物との関係における自白の成否

(1)当初訴訟物は、履行遅滞による解除に基づく原状回復請求権である(民法545条1項、541条)である。

(2)この要件事実は、ア 売買契約の締結、イ 相手方の履行がないこと、ウ 同時履行の抗弁権(民法533条)消滅のための自己の債務の履行提供、エ 催告、相当期間経過及び解除の意思表示である。

(3)これを本件に即していえば、アは事実①、ウは事実②、エは事実⑥にあたる。他方、イについては、履行期が経過したのに債務の履行がないことが主要事実であって、⑤がこれにあたるといえる一方、④は単なる事情ないし⑤の間接事実にすぎない。

(4)したがって、当初訴訟物との関係では「自白」にあたらない。

3.追加訴訟物との関係における自白の成否

(1)訴えの変更(143条1項)により追加された訴訟物は、債務不履行に基づく損害賠償請求権(民法415条)である。

(2)その要件事実は、ア 売買契約の締結、イ 債務不履行、ウ 損害およびその額、エ因果関係である。

(3)これを本件に即していえば、アは事実①、ウは事実⑧及び⑨となる。そして、415条の債務不履行の事実については、具体的態様の主張を要するため、本件車両のベッドの下敷きになり時計が損壊したという事実が主要事実となる。したがって、④はこれにあたり、追加訴訟物との関係では「自白」にあたることとなる。

4.訴え変更後の自白の撤回の可否

(1)自白が成立した場合、不要証効(179条)が生じるとともに、裁判所に対する拘束力も生じる(弁論主義第二原則)。そして、これにより相手方は立証の負担を免れるという地位が生じるため、その期待の保護から、当事者拘束力が信義則上生じることとなる。

(2)もっとも、弁論主義の機能は当事者に対する不意打ちの防止であるところ、当初は自白でなかった事実について、訴えの変更がなされたあとに自白となるのであれば、むしろその陳述をした者にとって不意打ちとなり、その保護を図る必要性が高い。したがって、訴え変更後に自白となりうる事実の陳述撤回は、信義則に反さず可能と解する。

(3)本件では、訴え変更後にYの事実④への陳述が自白となっており、Yにとって不意打ちであるから、Yはこれを撤回することができる。

設問3

1.220条4号ニ該当性

本件日記が自己利用文書(220条4号ニ)にあたれば、文書提出義務はない。自己利用文書とは、専ら自己のみの利用を想定している文書であって、かつ公開により重大な利益侵害が生じうるものをいう。

2.どのような観点からどのような事項を考慮すべきか。

(1)自己利用の観点

判例は、自己のみの利用という点について、銀行などの貸出稟議書など、業務として作成されたものであって、社内でのみ使用を予定する文書がこれにあたるものとしている。

本件日記は、たしかに甲シリーズの車両の不具合に関する情報が含まれているが、Tが個人的に作成したものであり、Yの業務として作成されたものとはいえず、Tが「自己」であり、Yの所有性は考慮すべきではない。

(2)重大な利益侵害の観点

判例は重大な利益侵害について、個人のプライバシーなどに重大な損害が生じる場合がこれにあたるとしている。

本件では、T所有の日記であるから、その公表によるTのプライバシー侵害については考慮すべきであるが、Yへの財産的損害などについては考慮すべきではない。

以上

 

コメント

司法試験受験翌週中に作成したため、再現度は80%以上です。5枚ほど。

なんでや!文書提出命令去年出したやん!もう10年は出ないだろうということで一切やってなかった……。管轄も、昨年度の試験設問1で管轄書いちゃった人が多かったからですかね……性格悪いよ。

設問1について

類推適用に気づかないミス。

設問2について

 良問(できたとは言っていない)。

あれ……不完全履行の場合は何を主張すべきなんだっけ……と思考停止してしまい、事情ないし間接事実とかよくわからないことを書いてしまいました。

履行遅滞では、弁済期経過を主張して、相手の弁済の抗弁を否定する間接事実?になると思うんですけど、不完全履行のときはどうなんだろう……訴状で事情として書かないのかな……などと問題文から離れた妄想の果てにグロ注意答案になっています。

訴えの変更後については、因果関係で書いている人が多いのか……そうだよなあ……。

やばい。

設問3について

オ ワ タ

感想文を書きました